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学資保険の返戻率105%は年何%か——払込時期で計算

返戻率は「何年かけて増えたか」を含まない数字です。18年で105%を年率に直す式、いま販売中の学資保険の年率、同じ額をNISAで積み立てた場合の仮定計算、契約者死亡時の払込免除の価値を、編集部計算で並べました。

記事番号D-09
公開日2026.10.14
執筆・監修編集部・ヤマト
販売していません
  • 18年で返戻率105%を年率に直すと、18年前に全額を払った場合で約0.27%。毎月払い続けた場合は、お金が預けられている期間が平均9年ほどなので約0.54%になる(編集部計算)
  • 2026年に販売されている学資保険の公式例は返戻率116〜126%で、払込の時期を考えた年率は約1.3〜1.5%(編集部計算)。返戻率が高い例ほど、払込を早く終えて長く寝かせている
  • 学資保険にしかないのは、契約時に受取額が決まることと、契約者が亡くなったときに以後の保険料が免除されること。NISAと比べるなら、この2点にいくら払うかで考える

返戻率は「何年で」を含まない

学資保険のパンフレットや設計書に大きく載る返戻率は、受け取る学資金の合計を払い込む保険料の合計で割った数字です。ソニー生命は「(満期学資金および進学学資金の受取総額)÷払込保険料総額×100」、明治安田生命は「受取率」として払込保険料の累計額に対する受取総額の割合、と定義しています。

この式には時間が入っていません。10年で105%になる商品と、20年で105%になる商品が同じ数字になります。

もう1点、払い込むタイミングも入っていません。毎月の保険料は少しずつ払っていくので、0歳のときに払った1万円は18年間、17歳のときに払った1万円は1年間しか預けられていません。返戻率はこの違いを全部ならして、1つの比率にしています。

銀行預金や投資の利回りと比べるには、返戻率を「1年あたり何%」に直す必要があります。

105%を年率に直す

例として、子どもが0歳から18歳になるまで毎月1万円を払い込み、18歳で一度に受け取る契約を考えます(編集部の仮定)。

  • 払込総額:1万円×12か月×18年=216万円
  • 返戻率105%なら受取額:216万円×1.05=226.8万円
  • 増えた額:10.8万円

一度に払ったとみなす計算(実際より低く出る)

216万円を0歳で一括して払い、18年後に226.8万円になったとみなすと、年率はこうなります。

年率=1.05^(1÷18)−1=約0.27%

「返戻率105%は年0.3%」という言い方は、この計算から来ています。ただ、実際には216万円を18年間預けているわけではないので、利回りとしては低く見積もりすぎです。

払込の時期を考えた計算

毎月払う場合、最初の1万円は216か月、最後の1万円は1か月しか預けていません。お金が預けられている期間を払込額で平均すると、約9年です。

年率=1.05^(1÷9)−1=約0.54%

もう少し厳密には、毎月の払込をマイナス、受取をプラスのお金の流れとして、現在価値の合計がゼロになる利率(内部収益率)を求めます。月の利率を r とすると、

1万円×(1+r)^216 + 1万円×(1+r)^215 + … + 1万円×(1+r)^1 = 226.8万円

を満たす r を探し、年率は(1+r)^12−1 で出します。結果は年約0.54%で、平均期間を使った簡便な計算とほぼ一致します(編集部計算)。

返戻率105%は、払い方を考えれば年0.5%台です。「年0.3%」よりは高い。それでも、18年かけて10.8万円増える、という規模感は変わりません。

返戻率別の早見

同じ「0歳から18歳まで毎月払い、18歳で一括受取」の前提で計算しました(編集部計算)。

返戻率 一括で払ったとみなす年率 払込時期を考えた年率
105% 約0.27% 約0.54%
110% 約0.53% 約1.04%
116% 約0.83% 約1.62%

払込期間を10歳までに縮める(短期払)と、同じ返戻率でも年率は下がります。早く払い終える分、お金を長く預けているからです。

いま販売中の学資保険はどのくらいか

金利の上昇を受けて、学資保険は2025〜2026年に保険料率の改定が続きました。公式に公表されている例を年率に直します。受取の時期はパンフレットの記載から月単位で置いた仮定で、±0.05%程度の誤差があります(編集部計算)。

商品・条件(公式例) 月払保険料 返戻率(公式) 払込時期を考えた年率
ソニー生命 学資保険 Ⅰ型・基準学資金額100万円・18歳満期・10歳払込・契約者30歳男性 11,490円 116.0% 約1.3%
ソニー生命 学資保険 Ⅱ型・200万円・18歳満期・10歳払込・契約者30歳男性 13,740円 121.3% 約1.5%
明治安田生命 つみたて学資 Ⅰ型・受取総額280万円・21歳満期・15歳払込・契約者30歳男性 13,014円 119.5% 約1.5%

ソニー生命の例は2026年4月2日以降の契約、明治安田生命の例は2025年11月1日以降の契約に適用される料率です(両社のニュースリリース)。明治安田生命は、予定利率を1.75%から1.85%に引き上げています。

105%の例と比べると、いまの学資保険はかなり上がっています。一方で、受取額は契約時に固定されるので、契約した後に金利がさらに上がっても増えません。

同じ会社の例でも、返戻率が高いほど年率が高いとは限りません。明治安田生命の公式サイトの最大例(契約者25歳男性・一括払込〈10歳払込満了〉・受取率129.2%)は、払込総額を受取総額280万円÷1.292=約216.7万円と逆算して年率に直すと約1.3%で、月払の15歳払込(119.5%、約1.5%)より低くなります(編集部計算)。返戻率の大きさは「長く寝かせたかどうか」も映しています。

同じ額をNISAで積み立てたら

比較のため、0歳から18歳まで毎月1万円(総額216万円)を、NISAのつみたて投資枠で投資信託に積み立てた場合を計算します。利回りは仮定で、手数料や信託報酬を差し引いた後の年率として置いています。将来の運用成果を示すものではありません(編集部計算)。

仮定の年率 18年後の評価額 払込総額に対する比率
1% 約237万円 約110%
3% 約286万円 約132%
5% 約347万円 約160%

計算式は、毎月の積立額×(1+月率)^残り月数 を216回分足したものです。月率は(1+年率)^(1÷12)−1。

学資保険の返戻率105%(受取226.8万円)は、仮定の年率約0.54%の運用と同じです。いまの学資保険の約1.3〜1.5%と比べるなら、NISAの側はそれを手数料控除後で上回る必要があります。

表にない部分

この表で抜けているものを書いておきます。

  • 投資信託は元本が保証されません。18年後、学費が必要な年に相場が下がっていれば、評価額が払込総額を下回ることもあります。仮定の年率は毎年一定ですが、実際の値動きは一定ではありません
  • 学資保険の受取額は契約時に決まっています。保険会社が破綻した場合などを除けば、18年後の金額は相場に左右されません
  • NISAは途中で売って現金にできます。学資保険は途中で解約すると、ソニー生命の特設サイトにあるとおり、解約返戻金が払込保険料総額を下回る場合があります

NISAの口座の名義

金融庁のNISA特設サイトによると、NISAは利用する年の1月1日時点で18歳以上の人が対象です。いまは親の名義の口座で積み立てることになります。

2027年1月からは、0歳から17歳までの未成年者もNISA口座を開けるようになります。使えるのはつみたて投資枠だけで、年間60万円、非課税保有限度額は600万円です。0歳から17歳までの間は、原則として払い出せません(12歳以降は一定の要件のもとで払出しが可能とされています)。

払込免除の価値

学資保険の多くには、契約者(親など)が亡くなったときに以後の保険料が免除され、学資金は予定どおり受け取れる仕組みがあります。ソニー生命は死亡、所定の高度障害状態、不慮の事故から180日以内の所定の身体障害を免除の対象にしています。明治安田生命のつみたて学資はⅠ型が免除ありのタイプです。

NISAにはこの機能がありません。親が亡くなれば積立はそこで止まり、残りは別の財源から考えることになります。

平均で見るとどのくらいか

この機能の「平均的な」重さを、厚労省の令和6年簡易生命表(男)で見積もります(編集部計算)。

  • 30歳の男性が18年以内(48歳まで)に亡くなる割合:約1.7%
  • 35歳なら約2.6%、40歳なら約4.2%

30歳の男性が18年払込の契約者だった場合、免除される保険料の期待値は、残りの払込月数に各年の死亡割合を掛けて足すと、216か月分のうち約1.5か月分です。総払込の約0.7%にあたります。

ここで使ったのは国民全体の生命表で、保険会社が保険料の計算に使う死亡率ではありません。高度障害による免除も入っていません。あくまで目安です。

平均では測れない部分

期待値が総払込の1%に満たないからといって、価値がないとは言えません。免除が起きた家庭にとっては、残りの保険料がすべて不要になり、18歳の学資金はそのまま入ります。起きる確率は低いが、起きたときの影響が大きい。保険が向いているのはこういう出来事です。

ただし、親が亡くなったときに必要になるお金は学費だけではありません。生活費、住居費、教育費の全体を、遺族年金と合わせて死亡保障で考える方法もあります。死亡保障を別に持っているなら、学資保険の払込免除はその一部と重なります。

税金の扱い

国税庁のタックスアンサーによると、保険料を負担した人と満期保険金などの受取人が同じ場合は、一時金で受け取ると一時所得になります。受取額から払込保険料を引き、特別控除50万円を引いた残りの2分の1が課税対象です。

返戻率105%で216万円払った例なら、増えた額は10.8万円で、50万円の特別控除の内側に収まります。ほかに一時所得がなければ、課税は生じない計算です(編集部計算)。保険料を負担した人と受取人が違う場合は、贈与税の対象になります。

学資保険の保険料は、生命保険料控除(一般生命保険料)の対象です。控除で戻る税金の実額は生命保険料控除で減る税金は年いくらかで計算しています。税率10%の人なら年数千円の規模です。

NISAは運用益が非課税です。この記事の仮定計算も、税金がかからない前提で置いています。

組み合わせで考える

ここまでを並べると、学資保険とNISAは「どちらが得か」より、役割で分けた方が説明しやすくなります。

  • 学資保険:受取額が確定し、親が亡くなっても払込が免除される。年率はいまの公式例で約1.3〜1.5%。途中解約には弱い
  • NISA:元本保証はなく、受取額は相場しだい。仮定の年率次第で学資保険を上回ることも下回ることもある。いつでも現金にできる

大学の入学金など「この年にこの額は必ず要る」部分を確定させたいなら学資保険、それより上の上乗せや使い道が決まっていない部分はNISA、という分け方もあります。どちらも、途中でやめずに払い続けられる額に抑えるのが前提です。

すでに学資保険に入っているなら、設計書の返戻率と払込期間を、上の早見表に当てはめてみてください。昔の低い料率の契約でも、払込免除がついていて、親の死亡保障を別に持っていないなら、続ける理由はあります。

家計全体で、教育費・死亡保障・積立のバランスがどうなるかは自分の数字で試算するで確認できます。

出典

当サイトは保険募集人・金融商品取引業者ではなく、特定の保険商品の募集・勧誘・推奨や投資助言は行いません。NISAの計算は仮定の利回りによるもので、特定の金融商品の運用成果を示すものではありません。

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